プロジェクトY~LINEスタンプリリースの日~

プロジェクトY
~LINEスタンプリリースの日~
その日、私たちは地元にある、少しお値段高めの焼肉屋を訪れていた。
普段ならあまり利用しないそのお店に私たちがやってきた目的、それは自作のLINEスタンプのリリースをここで行い、盛大に祝うためであった。
ちょうど2ヶ月程前、突如 姉・ゆのすけから持ちかけられたLINEスタンプ制作。
妹の私がデザインを担当し、姉がイラストへの清書と諸々の調整・手続きを担当するという、姉妹2人の共同作業によって生まれたスタンプ、それが「ゆるねこ一揆」だった。
その「ゆるねこ一揆」が、このたびめでたく承認されたのだ。
意気揚々と焼肉屋に入店し、さっそくコースメニューを選択。
大好きな塩タンや、普段ならあまり食べない上ロースの柔らかさに感嘆し、私たち2人は上機嫌だった。
しばらく楽しく食事をした後、何か“エンカツギ”の儀式的なことをやりたい、とどちらともなく言い出していた。
日本酒を注文して本格的に執り行ってはどうか、と提案する姉だったが、出費を避けたかった私は、ちょうど注文しようとしていたマンゴーアイスを使っては、と提案した。
マンゴーアイスの黄色をお金の色に見たてて「スタンプ少しでも売れたらイイネ!」と金運アップを願うという、強引かつゲスい儀式だったが、日本酒を注文したところで下戸の私たちには飲めないのだから…と、マンゴーアイスで手を打つことになった。
ややあって、私たちの元に運ばれてきたマンゴーアイス(税込302円)。
何の変哲もないデザートだが、その時の私たちにとっては特別な意味を持った、いわば儀式に使う神具のような厳かさをもって迎えられた。
神妙な面持ちで、マンゴーアイスと向かい合う私たち。
一般的な儀式の手順など知らない私たちは、思い思いのやり方でマンゴーアイスに拝んだ。
他の客からすれば、さぞ奇妙な光景に見えたことだろうが、なりふり構ってはいられない。私たちはいたって真剣だった。
その後、濃厚なマンゴーアイスを食べ終え、ようやくリリースの瞬間がやってきた。
「リリース!」
リリースボタンをタップする姉を、祈るように見つめる。
その瞬間私の頭の中をよぎっていたのは、漫画「HUNTER×HUNTER」で、爆弾魔ゲンスルーとその一味が「リリース(解放)」と唱えた瞬間、彼らの罠に嵌められた人々が一斉に爆破されるという、ショッキングなシーンだった。
そのようなえげつない思念に影響されたのか、直後なぜか画面がフリーズするなどといったトラブルに見舞われながらも、無事、LINEスタンプ「ゆるねこ一揆」は配信されたのだった。
~終~
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